ある家の、物語。vol.1

お守りBOOKから見える景色。

少しずつ、いままでの制作の過程で見えたこと、感じたことを、

文章に残していきたいと思います。

家じまいや、住まいの終活で、悩まれている方へ。

「ある家の物語」としてお読みいただけたらと嬉しいです。

第一回は、今年のはじめに納品させていただいたお家で

祖母、子、孫、“3世代”の、お守りになったシーンを綴ります。

(ゆったり5分で読めます)

【制作基本情報】

ご依頼者:30代女性

制作するお守りBOOK:祖父母の家と家族の記録

大切な「おばあちゃんち」、大切な「実家」

最初は、お孫さんからのご依頼でした。

おじいさまが亡くなったことで、相続が発生し

もしかしたら、大切な祖父母の家が解体になってしまうかも…という状況に。

昔から、おじいちゃんおばあちゃん子だったお孫さん。

寂しさを心にじわじわと貯めていた時、ふと思います。

「母は、生まれてからずっと過ごしてきた実家。私よりもっと寂しいはず。」

「祖母も、迷惑をかけまいと我慢しているけど、本当はすごく悲しいはず。」

そんな時、お守りBOOKのサービスを思い出し、声を掛けくださいました。           

お母さまの気持ちにも、変化が。

当初は、「自分用に」とご依頼いただいたのですが、

現地で行われた思い出のヒアリングには、ご近所に住むお母さまや、

時に、息子さんの家に引っ越されたおばあさまも、同席くださいました。

お孫さんから「母は警戒心が強い方なので…」とお聞きしていましたが、

最初こそ緊張されていたものの、ヒアリングが進むにつれて、

お話の途中で「あ!」と言いながら、思い出の品を取りに行ってくださったり、

写真を見ながら、「我が家」のエピソードを次々に話してくださったり。

しかも、とっても楽しそう。 

「懐かしさ」に浸る喜びや楽しさを、目の前で見せて頂いた気がします。

おばあさまは、「そんなにうちのこと聞かれたり撮られたりしちゃ恥ずかしいよー」

と茶目っ気たっぷりに仰りつつも、おじいさまとの若き日の思い出や、

「我が家」への愛情を、じっくり話してくださいました。

気づけば、一冊のお守りBOOKは、お孫さんだけでなく、

お母さま、おばあさまのものにもなっていました。

そして、お渡しした、あの日。

納品の場面を撮影させていただけるとのことで

できたてのお守りBOOKを、直接お会いして手渡した、冬のある日。

お孫さん、娘さんから、「おばあちゃん、これ、できたよ」
と、我が家のお守りBOOKを渡された、おばあさま。

最初は「ずっしりしているね、」なんていいながら

少し照れくさそうだったけれど、

手に取って、表紙にうつる我が家の写真を、じっと見つめ

「ここにね、原っぱだったところにね、おじいさんと家を…」と言いながら、

急に涙が。

そこから祖母、娘、孫の3人で、お守りBOOKを囲み、

「我が家の記憶」を味わう時間が、しばらく続きました。

1枚1枚、ページを捲りながら、「ここでもこんなことがあったよね」と。

時に大笑いもしながら。

その光景に同席させてもらって改めて、実感しました。

これまでを「振り返る」時間の尊さや、

「家」の懐かしさは世代を超えて共通し、温もりある会話の種になることを。

家の、どんな未来にも備えられる「お守り」

帰り際、ご家族から声をかけていただきました。

「これで、この家の、どんな未来にも備えられる気がします。」

とても嬉しく、忘れられない言葉です。

今まで、失われゆくかもしれないモノや景色を見ると、

寂しさや悲しさでいっぱいだった。けれど、思い出を添えてもらったことで、

そこにあった記憶がそのまま思い出されて、喜びや嬉しさが上回ってくる、と。

最初は取り壊しを受け入れられなかったお母さまも、話して、思い出して、

懐かしんで…

そしてそれらの記憶が、記録として手元に残る過程で、

「気持ちの整理がついた」とおっしゃってくださいました。

この出会いを通じて、ただ記録を作るだけでなく、

その過程にある“寄り添う時間”こそ大切なのだと気づきました。

お守りBOOKにとっても、大きな転機となる、出会いだったと振り返っています。

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HPのトップページに、この時撮影させていただいたシーンを

まとめた動画があります。もしよろしければ、のぞいてみてください。

▶︎ https://omamoribook.com

必要な人に、小さな灯りが、ともりますように。